フィンガーを長くしてもカタログの把持力を使えますか?
トレーの奥にあるワークをつかむなら、把持力の定義、接触位置、フィンガーに許容される荷重を確認してからグリッパーを選びます。
力の値が何を表すかをそろえる
フィンガーを長くした後も、カタログ値がそのまま使えるとは限りません。まず定義を確認します。SMCのMHZカタログの印刷ページ387では、外径把持のFは図示した接触条件でのフィンガー1本の力です。SCHUNKのPZN-plus説明では、距離Pにおける各ジョーの力の合計を把持力としています。いずれも他社製品の資料例であり、CBOXTECの定格ではありません。
比較する数値の横に「フィンガー1本分」か「各ジョーの合計」かを書き、外径把持か内径把持かも記録してください。単位が同じでも条件が同じとは限りません。
実際の接触位置を図面に示す
SMCのグラフは把持点までの距離Lと圧力別の曲線を使います。SCHUNKは指定された基準面からPを定義し、Pと把持力の関係を示しています。使うべき寸法はその型式の図面に示されたもので、任意の端から測ったフィンガー全長ではありません。
ワークがトレーの縁より低い位置にあるなら、予定するフィンガーが実際に触れる位置を示します。その位置、把持方向、運転条件に対応する曲線を読み取ってください。想定する形状が図面や曲線の範囲外なら、メーカーに評価を依頼します。単純な長さの反比例式では代用できません。
フィンガーの制限は項目ごとに確認する
SCHUNKの例では、許容フィンガー長さ、1本当たりの質量、ジョーにかかるモーメントが別々に記載されています。把持力の数値だけで、これらすべてを判断することはできません。
要件表には接触力の検討と並べて、フィンガーの質量と荷重の確認欄を設けます。予定するフィンガーで同時に満たすべき制限を確認してください。形状に無理がある場合、圧力を上げれば解決するとは考えないでください。
検討に必要な図面を渡す
用途を検討するための提案として、グリッパーの基準、フィンガー取付面、接触パッド、ワークとの接触範囲を寸法入りで示してください。フィンガーの材質と質量、ワークの質量と表面状態、把持方向、予定する動作も添えます。空圧式なら、利用可能な圧力と運転中の確認方法を記載します。
搬入出やトレーの図には、避ける必要のある縁など、長さが必要な理由も示します。同じ要件に対して、短いフィンガー、別の接触位置、別のグリッパーを検討しやすくなります。これらは評価する選択肢であり、改造や互換性を約束するものではありません。
その把持条件に対応した確認結果を求める
提案された型式とフィンガーについて、力の定義、基準図、適用曲線、フィンガー荷重の確認結果を求めてください。その後に保持試験を行う場合は、試験条件を別途合意する必要があります。カタログ値や本図だけでは、動作全体でワークを保持できると証明できません。
CBOXTECはロボットアームとグリッパーを供給しています。選定の相談時にはワークとフィンガーの要件をご用意ください。搬入出やトレーへの整列は本稿で扱う用途例であり、型式の適合性や設備の性能を示すものではありません。